蜜味センチメンタル
抱きしめる強さから解放されると無言のまま手を引かれ、リビングの奥へと進む。ベッドの縁に腰を下ろすと、那色の体温がすぐに迫ってきた。
沈み込む柔らかな感触の中、ふたりの体が自然と重なった。那色の指が髪へと伸び、ひと束をすくい上げて絡めとる。
「……好きです、羅華さん」
その低く甘い声とともに、髪に、首筋に、そっと唇が落とされる。くすぐったさよりも先に、奥底が熱くなる。
「……私、も」
震える声で返した瞬間、那色の手が羅華の胸元に触れた。
シャツのボタンがひとつずつ外されていく。そのたびに、肌と心の奥をくすぐるような緊張がじわじわと広がっていく。
素肌に那色の手が触れた瞬間、体が跳ねた。冷たい空気と手のひらの熱が、鋭く感覚を刺激する。
「……んぁ、っ……」
思わず漏れた声に、那色の動きが止まる。けれど、見上げたその目は、優しさと焦がれるような熱で濡れていた。
頬が火照って、息がうまくできない。なのに那色に触れられるたび、もっと奥まで知ってほしいと願ってしまう。
指先が脇腹をなぞり、ゆっくりと腰へと滑っていく。シャツの裾が捲れ、素肌があらわになるたび、冷気より先に那色の温もりに包まれる。
「……羅華さん、好き……」
その囁きだけで、喉の奥がぎゅっと締めつけられた。
くちづけが、首筋に、鎖骨に、焦らすように降ってくる。
「……ぁ、ん…っ…」
耳元で好きだと囁かれるたび、体が勝手に応えてしまう。羞恥と快感が溶け合い、もはやどちらが支配しているのかも分からない。
那色の顔が胸元まで落ちた時、ふと動きが止まった。
「ようやく、僕を見てくれた……」
苦しげに絞り出されたその声が、胸をひどく締めつけた。羅華を求めるその声は、欲望というより——愛しさでいっぱいだった。
この夜が、終わらなければいいと願うほどに。