蜜味センチメンタル
もう一度触れた唇はさっきよりも深く、けれどやっぱり優しい。息を吸うのも忘れてしまいそうなほどに、那色の唇は熱を持っていた。
那色の手がそっと頬に触れる。伝う指先が耳の後ろをなぞり首筋へ、そして肩へと降りていく。
そのたびに、羅華の中で何かがほぐれていった。
「……触れていいですか?」
静かに落とされた声は、あまりに真剣で、だからこそたまらなく愛おしい。
羅華は、小さく頷いた。言葉ではうまく言えなかったけれど、拒む理由なんてもうどこにもない。
ゆっくりと肌が触れ合い、マフラーが解かれ、コートが落とされる。
色気も何もないリクルートシャツの上から手を添える那色の指先は慎重で、戸惑いながらも確かだった。
不意に、その手が震えているのが分かって、胸がきゅっとなる。
「……緊張してる?」
「……してないわけ、ないじゃないですか」
少しだけ不満げに、那色が額を寄せてくる。そのまま一度強く抱きしめる。
その体温が、心まで包み込んでいくようだった。