先輩はぼくのもの
気になる後輩くん
あー、なんて憂鬱な朝なんだろ。
なんでか昨日より今日のが憂鬱に感じる。
大学で、いやサークルで…
これから気まずいな。
「行ってきます」
起きてから家を出るまでずっと翔のことばかり考えてる。
あんな最低なこと言われたんだもん。
ほんとに嫌いになった。
だけど…人間そんなに簡単に割り切れないのか
100%嫌いにはなれてない自分がいて
そんな自分が嫌になる。
未練があるってわけじゃないんだけど。。。
「ー…輩」
いっそサークル辞める?
楽しい大学生活を過ごしたいだけなのに
なんでこんな…
「詩先輩!」
後ろから聞こえる声にハッと我にかえった。
振り向くと狩谷くんがいた。
「おはようございます」
「あ、狩谷くん…おはよう」
昨日家が近所だとわかった狩谷くん。
その次の日にこんな風に会うとか偶然って重なるなぁ。
「先輩も1限からですか?」
「うん。体育があって」
「体育ってなんで1限ばっかなんでしょうね〜。ぼく月曜の1限だから毎週行く気が出ないんです」
「あーなんかわかる、その気持ち」
狩谷くんに会えてよかった。
さっきまでの憂鬱な気持ちが少しずつ晴れていく。
「先輩、今日のバイト迷惑かけると思いますがよろしくお願いします」
「え!!迷惑だなんてそんな!!こちらこそよろしくね!!」
狩谷くんが仕事内容を覚えるまでの間(いわゆる研修期間)は、わたしと入ることが多くなるようだ。
「あっ…」
声を発したと思ったら、狩谷くんがわたしの髪に触れた。
ドキッ
は??
なに、今のドキッて!!
わたし、なに!!??
「先輩珍しい。寝癖ですか?」
そして可愛く笑う。
わたしはバッと自分の髪をまとめてポニーテールにした。
「朝ぼーっとしてて!!」
翔のこと考えてたらミスった。
「さっきも今もどっちも可愛いっすよ」
ドキンッ!
さっきより強くなった鼓動。
ま…また可愛いって言った!!
「行きましょっか」
なんだ…この朝から心臓に悪い生き物は…!?
でも狩谷くんは天然なんだろうな。
わたし、なにドキドキしてるんだろ。
「じゃー先輩。またバイトで」
大学に着いてひらひらっと手を振って去っていく狩谷くん。
結局、大学まで一緒に来ちゃった。
ガシッ
後ろから肩等へんに腕を回された。
「ちょっと〜イケメンくんと登校とか聞いてないんだけど!?」
「亜紀!」
「色々話な?」
「わかったわかった。体育の時話すから」