先輩はぼくのもの
「昨日は悪かった」

龍弥…


「あ、ううん。わたしこそなんか…ごめんね」

龍弥がわたしに近づく。



「手、出して」

「?」


言われるがまま右手を出した。


すると、わたしの服の袖をまくった龍弥。


「え?」

シュッとなにかを吹きかけた。


「わ…いい匂い」

匂いの正体は香水だった。


「誕生日おめでとう」


「これ…もしかしてプレゼント?」

「あぁ、そうだよ」


香水、、実は生まれて初めて。


「ありがとう。嬉しい!」

まさかプレゼントをもらえるなんて思ってなかったからビックリと同時にすごく嬉しくなった。


「大切にするね!」

「…あぁ///」


あ!!ヤバッ!!


「想汰くん待たせちゃってる!!行ってきます!!」

「行ってらっしゃい」


バタンッ



「誕生日プレゼントか…。そんな綺麗な物じゃないよ」


詩…

俺は昔からずっと……


「マーキングだよ」




ーーーーーーーー



「想汰くん、ごめんね!お待たせ!」

「おはよう先輩。今日も可愛いっすね」


ドキーッ!!!


「先輩?なんか顔赤いですよ?しんどいですか?」

「へ!?な、なんでもないよ!!」


あなたがいきなりぶっ込んでくるからでしょー!!
心臓がどんなけあっても足りないよ!!



きゅっ
手を繋いでくれた。


「行こ?」

優しく微笑む笑顔に見惚れてしまう。



「うん」


大好きな人との誕生日デートがはじまる。



ーーーーーー



「ここ…」


しばらく電車に乗って着いたのは有名なテーマパーク。


「先輩来たことあった?」

「小さい頃に一回だけ。でも、あんまり覚えてないの」


グイッ

「じゃあ、今日のことはちゃんと覚えててね」

たまらないぐらい可愛い笑顔で、わたしの腕を引っ張りながら言う想汰くんに胸がきゅんとして止まらない。


「こっちから周りません?」
入場チケットも買ってくれてて、パーク内の周り方もしっかりリサーチしてくれてる想汰くん。


「あっ!ちょっとここ寄りましょ」

へ??

向かったのはお土産屋さん。



「欲しいもの見てて」

そう言って想汰くんが店内に消えていった。


広い店内。
どこに行ったかわからない想汰くんを待ちながら売られているグッズを見る。

周りにはカップルが多くて
なんだろ……
急に寂しくなってきた。


想汰くん、早く戻ってきてー・・・



カポッ

ん?

頭になにか乗った??



「やっぱりすげーかわいい!!」


振り向くと満面の笑みの想汰くんがいた。


「遅いよ!想汰くん!」

「ごめんね、レジが混んでたんで」

スマホをこっちに向ける想汰くん。


「写真撮っていいですか?」

あ、そういえば…


頭の上を触る。
ん??
なんかあるぞ?


店内に鏡を見つけてそこまで早歩きをする。



!!??


「え!?なにこれ!?」

「絶対先輩に似合うと思って買っちゃった♪」

頭に乗っていたのは、テーマパークのキャラクターの耳のカチューシャ。
ピンク色ですごく可愛い。

だけど

「わたし、似合ってないし!!」

急いで外そうとしたら

「世界一かわいいから。…付けててほしいんだけど、ダメ?」


な、、なんちゅー破壊的にかっこいい上目遣いをするんだこの人は。。。

それに【世界一かわいい】とか。。
嘘だとわかっていても嬉しくなってしまう。


「わ、わかりました、、、」


ほら、嬉しそうに笑う。
だからついオッケーしちゃうんだ。



「ねぇ先輩」

「ん?」

「ほんとに世界一かわいいですよ。ほかの奴に見せたくないけど、ここじゃ仕方ないから我慢してます」


この人は、、、なんでこういう言葉をたくさんくれるんだろう。
嬉しくてどうにかなっちゃいそう。


「そんなこと言ってくれるのは想汰くんだけだもん。想汰くんしかそんな風に思ってないよ」

「ぼく以外が先輩を見るなんて許せないんでちょーどいいです」


チュッ
唇に軽く触れるキス。

人前で恥ずかしいはずなのに、テーマパーク内だからか
不思議と嬉しさが勝っていた。
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