私の愛した彼は、こわい人
「ッはぁあ~! よく寝たぁあ!」

 突如、ソファからユウキさんの目覚めの雄叫びが響いた。
 驚き、私とオーナーはサッと距離を離す。
 私はすかさずコンロの前に立ち、オーナーはわざとらしく冷蔵庫を開けてオレンジジュースのペットボトルを取り出した。
 我らながら、超不自然。

「ユ、ユウキさん、お目覚めですね!」
「んあー。うっかり寝落ちしちゃったわ」
「あの……夕食、ご一緒しませんか? 豚肉の玉子とじを作りました」
「んん。いい香りね。お腹空いてたし、いただこうかしら。ジンもいつの間にか帰ってきたのー?」
「あ、ああ。まあな……」

 オーナーはきごちなく頷いた。
 チラッと見ると、彼の耳は真っ赤に染まっている。
 ……今の、なんだったの。
 キス。キスしようとしてたよね? これって、どういうことなの? そういうことなの?
 私も、なんの迷いもなく受け入れようとしてしまった。
 それに、彼の家で住まわせてもらうって……。いいの? 本当にいいの?
 胸のドキドキは、しばらく落ち着いてくれなかった。落ち着けっていう方が無理だよ!


 その後は三人で食卓を囲み、豚肉の玉子とじを仲良く食べた。ユウキさんは絶賛して、すぐに平らげてくれた。
 彼も美味しいと褒めてくれたけれど、ずっとよそよそしい。
 いいのかな……。ホントにいいのかな? 何度も何度も自問自答した。
 神楽オーナーと、同じ屋根の下で暮らす。
 いいんだよね? いいよね?
 決断してしまいますよ?

 私たち二人の関係は曖昧なまま。
 私は彼と一緒に暮らすことにした──
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