モテ期なんて聞いていない!ー若手実業家社長の幼馴染と元カレ刑事に求婚されています


 ノロノロと席を立ったあかりに早野が声をかけた。 
「あかりー、明日は休みな」
「え? でも……」
 書類が、と食い下がろうとするあかりに早野は眉間のシワを寄せて黙らせる。のほほんとしているようで早野も警察官の端くれだ。それだけで一気に泣く子も黙る面構えになるから不思議である。
「そんな青白い顔して仕事されたら困るのよ、ぼくが。最近警察官といえども労基が煩くてね。幸いにも急ぎの仕事はないし、代休も消化させないと怒られるのはぼくだしね」
 あかりの反論を聞く前に早野はよし、決まり、と、サッサと予定を書き換える。そしてシッシと追い払うような仕草をしてあかりを追い出したのだ。

「あ、書類……」

 あかりは大きくため息をついた。
 処理するものが二日分溜まったらとんでもないことになるが、聞く耳をもたない早野を説得するのもまた困難だ。
 明後日、家に帰れない覚悟をしながらあかりは家へと足を向けたのだった。
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