失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「……光輝さんは好きでもない相手と結婚できるんですか?」
「好きでもない男と結婚しようとしていた君が、それを言うのか?」
質問に質問で返され、一瞬押し黙って目を伏せる。彼が望んでいる結婚とは、どんなものなのだろうか?
「私、たとえお互いに好きではなくても、夫婦としてやっていけるように努力したいと思っています」
小さい声でたどたどしく主張する。これは大林さんの息子さんと、結婚したとしても決めていたことだった。
「いい心がけだな」
顔を上げると、彼が右手を差し出してきた。
「これは契約婚ではあるが、後悔はさせない、少なくともあの男よりは。だから俺と結婚してくれないか?」
愛の言葉とか、ロマンチックなものはなにもない。けれど、この手を掴みたいと心から思う。
緊張しつつ私も右手を差し出しわずかに指先に力を込めると、ぎゅっと握られた。自分よりも大きくて温かな手のひらの温もりに、胸が熱くなる。
「ありがとう、ございます。光輝さんにとっては形だけかもしれませんが……あなたにとっていい妻になるようがんばります。だから、どうぞよろしくお願いします」
私にできる精いっぱいの返事だった。夢みたいだと思う一方で、これから始まる結婚生活に不安が隠せない。私の彼に対する想いは、きっと邪魔なだけだ。なにかを期待したら、あっさり切り捨てられるかもしれない。
そんな怖さがあるけれど、この結婚をできたらいいものにしたい。それだけは本当だ。
「好きでもない男と結婚しようとしていた君が、それを言うのか?」
質問に質問で返され、一瞬押し黙って目を伏せる。彼が望んでいる結婚とは、どんなものなのだろうか?
「私、たとえお互いに好きではなくても、夫婦としてやっていけるように努力したいと思っています」
小さい声でたどたどしく主張する。これは大林さんの息子さんと、結婚したとしても決めていたことだった。
「いい心がけだな」
顔を上げると、彼が右手を差し出してきた。
「これは契約婚ではあるが、後悔はさせない、少なくともあの男よりは。だから俺と結婚してくれないか?」
愛の言葉とか、ロマンチックなものはなにもない。けれど、この手を掴みたいと心から思う。
緊張しつつ私も右手を差し出しわずかに指先に力を込めると、ぎゅっと握られた。自分よりも大きくて温かな手のひらの温もりに、胸が熱くなる。
「ありがとう、ございます。光輝さんにとっては形だけかもしれませんが……あなたにとっていい妻になるようがんばります。だから、どうぞよろしくお願いします」
私にできる精いっぱいの返事だった。夢みたいだと思う一方で、これから始まる結婚生活に不安が隠せない。私の彼に対する想いは、きっと邪魔なだけだ。なにかを期待したら、あっさり切り捨てられるかもしれない。
そんな怖さがあるけれど、この結婚をできたらいいものにしたい。それだけは本当だ。