失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「あの、そのとき妹が私たちの結婚についていろいろ尋ねるかもしれませんが……両親のときみたいに、普通に好き合って結婚したと話してほしいんです」
両親は、私と結婚するから光輝さんが大林さんとの件を処理したと思っていた。可南子はそれ以前に、私が家のために光輝さんと結婚したのではないかと疑っている。
敏い子だから、そんな不安を与えないようにしないと。我ながら自分勝手なお願いだと自覚はあるけれど、そのためには光輝さんの協力が必須だ。
光輝さんの反応を待っていたら、彼はテーブルにカップを戻した。
「なら、妹さんに会う前にデートしよう」
「え?」
突然の光輝さんの申し出に目を瞠る。
「昨日、結局映画どころじゃなかったろ?」
彼の補足にすぐに合点がいった。でもまさか、昨日の映画の件を光輝さんがデートと認識していたとは思ってもみなかったので、少なからず動揺する。
「あ、そうですね。でも光輝さんお忙しいですし、無理はなさらなくても……」
「俺は、未可子と映画を見るのを楽しみにしていたんだ。無理はしていない」
きっぱりと言いきられ、逆に私がうろたえてしまう。うれしいけれど、光輝さんの顔がまともに直視できない。
この想いをわずかでも言葉にのせてもいいのかな。
「ありがとうございます。私も光輝さんとお出かけするのをすごく楽しみにしていたから……改めてデートしてください」
期待してはいけない。これは妹に会ったときに不自然さを感じさせないため、夫婦としての歩み寄りのひとつだ。
「わかった」
それでも、結婚するまで知らなかった彼の優しい表情に、胸の高鳴りが止まらない。
彼の妻を楽しむ余裕など正直ないけれど、光輝さんにはたくさんの幸せをもらっている。妻の立場に感謝して、光輝さんのためにできることはなんでもしよう。
両親は、私と結婚するから光輝さんが大林さんとの件を処理したと思っていた。可南子はそれ以前に、私が家のために光輝さんと結婚したのではないかと疑っている。
敏い子だから、そんな不安を与えないようにしないと。我ながら自分勝手なお願いだと自覚はあるけれど、そのためには光輝さんの協力が必須だ。
光輝さんの反応を待っていたら、彼はテーブルにカップを戻した。
「なら、妹さんに会う前にデートしよう」
「え?」
突然の光輝さんの申し出に目を瞠る。
「昨日、結局映画どころじゃなかったろ?」
彼の補足にすぐに合点がいった。でもまさか、昨日の映画の件を光輝さんがデートと認識していたとは思ってもみなかったので、少なからず動揺する。
「あ、そうですね。でも光輝さんお忙しいですし、無理はなさらなくても……」
「俺は、未可子と映画を見るのを楽しみにしていたんだ。無理はしていない」
きっぱりと言いきられ、逆に私がうろたえてしまう。うれしいけれど、光輝さんの顔がまともに直視できない。
この想いをわずかでも言葉にのせてもいいのかな。
「ありがとうございます。私も光輝さんとお出かけするのをすごく楽しみにしていたから……改めてデートしてください」
期待してはいけない。これは妹に会ったときに不自然さを感じさせないため、夫婦としての歩み寄りのひとつだ。
「わかった」
それでも、結婚するまで知らなかった彼の優しい表情に、胸の高鳴りが止まらない。
彼の妻を楽しむ余裕など正直ないけれど、光輝さんにはたくさんの幸せをもらっている。妻の立場に感謝して、光輝さんのためにできることはなんでもしよう。