失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「驚きました。光輝さんが突然、結婚したと聞いて……。彼は、私と結婚するはずでしたから」
きっぱりとした物言いに私の方が動揺する。光輝さんから結婚を申し込まれた際に、結婚相手として上司や関係者の娘さん、お孫さんを紹介されるのが後を絶たないからと言ってはいた。
けれど、そこまで具体的に話は進んでいたの? それとも千恵さんの一方的な作り話?
彼女の表情、口調ともに迷いはない。千恵さんは長い髪を掻き上げた。
「紹介された通り、私の父は警視鑑として警備局局長をしているんです。つまり光輝さんの上司にあたります。この世界では、皆が同じようには昇進していかない。厳しいふるいにかけられ、数少ない優秀な者だけが上に残っていく。そのためには実力はもちろん、いかに上の人間に気に入られるかが非常に大事になるんです。父もそうでした。そして父は光輝さんを買っています。彼は私と結婚したら将来を約束されたのも同然だった……」
わざとらしくため息をつく千恵さんに対し、心臓が早鐘を打ちだす。
『常々上に行くつもりだとは公言しているからな』
光輝さんが優秀で、この世界で上を目指している人なのは知っている。本人の希望としてはもちろん、周りがいかに彼に期待しているのかも。
「それがまさか、妹さんの友人だからって情けをかけて結婚なんて」
小ばかにした物言いに、私は耳を疑った。
今、なんて?
きっぱりとした物言いに私の方が動揺する。光輝さんから結婚を申し込まれた際に、結婚相手として上司や関係者の娘さん、お孫さんを紹介されるのが後を絶たないからと言ってはいた。
けれど、そこまで具体的に話は進んでいたの? それとも千恵さんの一方的な作り話?
彼女の表情、口調ともに迷いはない。千恵さんは長い髪を掻き上げた。
「紹介された通り、私の父は警視鑑として警備局局長をしているんです。つまり光輝さんの上司にあたります。この世界では、皆が同じようには昇進していかない。厳しいふるいにかけられ、数少ない優秀な者だけが上に残っていく。そのためには実力はもちろん、いかに上の人間に気に入られるかが非常に大事になるんです。父もそうでした。そして父は光輝さんを買っています。彼は私と結婚したら将来を約束されたのも同然だった……」
わざとらしくため息をつく千恵さんに対し、心臓が早鐘を打ちだす。
『常々上に行くつもりだとは公言しているからな』
光輝さんが優秀で、この世界で上を目指している人なのは知っている。本人の希望としてはもちろん、周りがいかに彼に期待しているのかも。
「それがまさか、妹さんの友人だからって情けをかけて結婚なんて」
小ばかにした物言いに、私は耳を疑った。
今、なんて?