失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
「それが……この後、職場に向かうことになったんだ」
「えっ、なら急いでください!」
危ない。光輝さんに余計な手間を取らせるところだった。自分のギリギリの判断に、胸がドキドキする。
「家まで未可子を送っていってやりたいんだが、このまま直行することになりそうだ」
「私は大丈夫です、ひとりで帰れますよ!」
小さい子どもでもあるまいし。けれど光輝さんは、どこか割りきれていない表情だ。
「帰りはタクシーを使え。念のため、帰ったら連絡を入れてほしい」
そこまでしなくてもと思ったが、反論せずに素直に従う。
「わかりました。光輝さんもお気をつけて」
「ああ。帰りは何時になるかわからないから、先に休んでいろ」
カフェを後にし、駐車場で光輝さんと別れる。
なにがあったのかは聞けないし、彼のどこか焦った感じからすると、それなりの出来事が起こっているのだろう。
『警察官の妻としての心得は十分にありますから、あなたより彼を支えられる自信もあります』
千恵さんなら、こんなときどんな言葉をかけるのかな?
こんなにも揺らぐのは、私たちが愛し合って結婚していないからだ。どんなに夫婦として歩み寄りを見せても、この関係がずっと続くとは限らない。
そして、この結婚について光輝さんがいつどんな判断をしても、私はなにも言えないんだ。
今さらの事実がこんなにも苦しい。高校生の頃、あんな形で思い知ったのに、また傷つくのは嫌なのに……。
光輝さんへの想いが止められない。実らない恋をこれからもずっとしていくのだろうか。
「えっ、なら急いでください!」
危ない。光輝さんに余計な手間を取らせるところだった。自分のギリギリの判断に、胸がドキドキする。
「家まで未可子を送っていってやりたいんだが、このまま直行することになりそうだ」
「私は大丈夫です、ひとりで帰れますよ!」
小さい子どもでもあるまいし。けれど光輝さんは、どこか割りきれていない表情だ。
「帰りはタクシーを使え。念のため、帰ったら連絡を入れてほしい」
そこまでしなくてもと思ったが、反論せずに素直に従う。
「わかりました。光輝さんもお気をつけて」
「ああ。帰りは何時になるかわからないから、先に休んでいろ」
カフェを後にし、駐車場で光輝さんと別れる。
なにがあったのかは聞けないし、彼のどこか焦った感じからすると、それなりの出来事が起こっているのだろう。
『警察官の妻としての心得は十分にありますから、あなたより彼を支えられる自信もあります』
千恵さんなら、こんなときどんな言葉をかけるのかな?
こんなにも揺らぐのは、私たちが愛し合って結婚していないからだ。どんなに夫婦として歩み寄りを見せても、この関係がずっと続くとは限らない。
そして、この結婚について光輝さんがいつどんな判断をしても、私はなにも言えないんだ。
今さらの事実がこんなにも苦しい。高校生の頃、あんな形で思い知ったのに、また傷つくのは嫌なのに……。
光輝さんへの想いが止められない。実らない恋をこれからもずっとしていくのだろうか。