恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
忠告されたときはどこかピンときていなかった事柄を、今は嫌というほど思い知る。


私は、なにをどこで間違えたのだろう。


「長谷部は匡を取引先やライバルと思っているのか? 友人のままでいたほうが幸せだったと考えているか? これから匡とどんな関係を築いていきたいんだ?」


数々の質問が胸に深く刺さる。

匡が好きで、どうしてもあきらめられなかった。

想いが通じ、当たり前のように会って、触れられるのが嬉しくて幸せだった。

傍にいられて、名前を呼んでもらえるだけで幸せだったのに。

私はどんどん欲張りになった。

婚約者だと言われ、さらに彼に惹かれるにつれ、不安も大きくなった。

この恋を失いたくなくて、嫌われたくなくて、嫉妬も不安もひた隠して物わかりの良い大人の女性を必死に演じた。

不都合に目を瞑り、私さえなにもかも呑みこめばうまくいくと思っていた。

挙句の果てに心が限界を迎え、空回り、匡にその鬱憤をぶつけてしまった。

匡は私を大切にしてくれていたのに。

こみ上げる愛しい人への想いと情けなさに胸が詰まる。

視界が滲んでいくのを抑えられない。

うつむく私に、峰岡専務が優しく声をかけた。


「そもそも長谷部は我慢や遠慮をしすぎだ。恋人同士は対等だろ? 腹が立つならその感情をありのままぶつければいい。喧嘩してお互いの胸の内をさらけ出さないとわからない出来事なんて無数にある。自分を一番に考えてほしいなら素直に言えばいい」


「でも匡は縛られるのを嫌うから……」


「匡に確認したのか?」


尋ねられ、思わず顔を上げる。
< 121 / 156 >

この作品をシェア

pagetop