恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「本気でそう思っているのか?」


「私には匡の考えが理解できません。それに私では彼の力になれません」


「匡にそう言われたのか? 自分のためになんらかの力添えが欲しいって匡が長谷部に望んだのか?」


厳しい目で問われ、首を横に振る。


「じゃあなぜ、そんなものを気にする? 俺はふたりが想いあっている姿をずっと見てきた。俺は匡側から見守っている立場だったが、アイツが長谷部をどれだけ大事にしていたか嫌というほど知っている」


専務の真剣な声が胸の奥に染み込む。

みっともなく心が震え、無理やり止めた涙が再び零れそうになる。

私の心はもうボロボロだ。

こんなところで、ましてや専務の前で泣くわけにはいかない。

グッと奥歯を噛みしめて涙を堪える。


「俺の忠告を覚えているか?」


友人の静かな問いかけに、最近の記憶をたどる。


『もちろん長谷部の言い分もわかる。だが俺に言わせたら、ふたりとも圧倒的に会話が足りてない。お前たちの考え方は似ている部分も多いが、自分の勝手な予想で相手の気持ちをはかりすぎなんだ。匡は器用なはずなのに、長谷部には不器用になるんだな』


脳裏に専務の言葉がゆっくり浮かび上がる。


「自分の考えや想いは、きちんと言葉にしないと相手には伝わらない。思い込みだけでは誤解をうむ。仕事でも同僚や上司、先方にきちんと確認をするだろ? それと同じだ」


友人の言葉がストンと胸に落ちた。
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