恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「眞玖、もう三杯くらい飲んだだろう。そろそろやめようか」


藤宮くんの長い指がそっと私の指を包み込むように触れる。

以前と同じように私の飲酒量を注意する彼に、心が騒ぐ。


「再会した途端に過保護だな。長谷部が困ってるぞ」


「眞玖を守るのは俺の役目だ」


「ハイハイ、後は頼んだぞ。匡、長谷部にちゃんと説明しろよ。じゃあお疲れ様」


柔和な微笑を浮かべて専務が私に片手を上げる。


「ま、待ってください、専務……!」


慌てて専務を引き留めようとする私の耳に、藤宮くんの低い声が響いた。


「今日は譲るが、今後縋る相手は俺だけにしてほしいな」


とんでもない物言いに瞬きを繰り返す。


「今日、ここに眞玖を連れてきてほしいと宰に頼んだのは俺だから仕方ないけど、いくら親友でも面白くない」


「……なんで、私を今日」


動揺のせいか、うまく言葉を紡げない。


「眞玖に会いたかったから」


あっさり返答し、数年前と変わらない綺麗な微笑みを向けられ、息を呑む。

さらに私の手からシャンパングラスを取り上げ、近くを通ったウエイターに渡す。

そしてそのまま、私の指に自身の指をするりと絡ませた。


「話がしたいから、出よう」


「ち、ちょっと待って。藤宮くんは主催者でしょ?」


「正確に言うと父が、だが。俺の挨拶までまだ時間がある。それより先にふたりきりになりたい」


私たちはただの友人でしょ?


しかもこの四年近く一度も連絡を取り合っていないのに。


わからない事柄が多すぎて理解が追いつかない。
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