恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「う……ん、藤宮くん……」


可愛らしい寝言に、物思いから現実に意識が戻る。

思わず返事をしそうになるが、そっと額に口づけを落とすに留める。

学生の頃からずっと好きだったと伝えたら、どんな反応をするだろう。

自信のなさや不安を隠すのが上手い眞玖が、これ以上心配事を心に抱えないよう守りたい。


見せてくれた小さな嫉妬心がどれだけ嬉しかったか、知っているだろうか?


俺の全部は眞玖のもので、彼女以外にはまったく心惹かれないとどう説明すれば伝わるだろう。


きっと眞玖は自分のほうが俺を好きだと勘違いしているだろうから、まずはその誤解をとくことからはじめようか?


なによりいい加減に俺の名前を呼んでほしい。

近いうちに同じ苗字に変わるのだから。


なあ、そろそろ目を覚ましてくれ。


寝顔も愛しいが、早く声が聞きたいんだ。




< 72 / 156 >

この作品をシェア

pagetop