恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「長谷部の言い分もわかるが俺に言わせたら、ふたりとも圧倒的に会話が足りていない。ふたりは似ている部分も多いが、勝手な予想で相手の気持ちをはかりすぎだ。匡は長谷部だけには不器用になるから」


「会話はきちんとしているつもりだけど」


ふと以前の蘭の忠告を思い出す。


「今も友人だった頃の物差しで相手を見ていないか?」


「どういう意味?」


「友人に見せる顔と恋人に見せる顔は違う。特に匡のように独占欲の強い男はな」


口角を上げた専務がなにやら含みのある言い方をする。


「匡は束縛されるのが嫌いだし、相手を縛ったりしないでしょ」

 
「長谷部も大概鈍いというか、ズレてるな。考え方がすれ違っているとは思っていたがまさかここまでとは……匡はなにをやっているんだ」


専務は眉間に皺を寄せ、自身の額を長い指で押さえる。


「長谷部、昨日匡が会いにきて心配をかけたのを申し訳ないって言ってたよな」


うなずく私に専務がため息交じりに言葉を続ける。


「そういうところだ」


忠告の真意がわからず混乱していたとき、内線電話が鳴り響いた。
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