先生、それは取材ですか?

「……ん……」

目を覚ますと、部屋の空気がひんやりしていた。

「あれ……私、寝て……?」

「起きました?」

「えっ!?」

隣を見ると、橘がソファでスマホをいじっていた。

「……なんでいるの……」

「先生がちゃんと寝るまで、見届けようと思って」

「……」

何も言い返せない。

「熱、少し下がったみたいですね」

橘がそっと額に手を当てる。

「ちょっ……!!」

「まだ少し熱いですね」

「ち、近い!!///」

「病人なんですから、ちゃんと大人しくしててください」

「……もう、帰っていいよ……」

「ダメですよ。先生、絶対また無理するんで」

「……」

何も言い返せない。(二回目)

「ほら、水飲んでください」

そう言って、橘はコップを差し出す。

「……ありがと」

「いいえ、どういたしまして」

「……」

「……」

沈黙が流れる。

「……ねえ、橘」

「なんですか?」

「……なんで、こんなに優しいの?」

「……」

橘が少しだけ、視線をそらした。

「……先生が、無理してるの知ってるからですよ」

「……っ」

「僕、先生の作品好きなんで」

「……!」

「だから、ちゃんと元気になって、また面白い漫画描いてください」

「……っ……」

胸が、少しだけ熱くなる。

「……うん」

そう答えると、橘は少しだけ微笑んだ。
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