今日はあなたを困らせたい
夕方になると、決まって私は、外に出た。

栗色のウェーブヘアが、周りの視線を集める。

こう言っちゃあ、何だけど。

顔も、そこそこ可愛いと思う。


待ち合わせの場所に辿り着き、時計を見た。

約束の時間の3分前。

ちょうどいい時間だ。


その時だ。

「君がシホちゃん?」

いかにも、中年サラリーマンという人が、声を掛けてきた。

「はい。」

「いや~。こんな可愛い子だったなんて、おじさん嬉しいな。」

鼻の下を伸ばして、その人はデレデレしながら、寄って来た。

「ホント?よかった。そう言って貰えて~。」

少しハニカミながら、私は笑った。

そうすると、おじさんはもっと喜ぶ。


オーバーリアクションではなく、このハニカむ姿が、また可愛く見えるらしい。

これでも、結構勉強しているのだ。


「じゃあ、行こうか?」

「はい。」

そして私は、そのおじさんと一緒に、街の中に消える。

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