今日はあなたを困らせたい
そう言っておじさんは、ベッドの中に入った私の頬に、キスをする。

滑らかな肌を触りながら、バスタオルを脱がせ、だんだん息遣いも、荒くなってくる。


そのうち自分の舌を使って、耳から首、肩、胸、腕と順番に、私の身体を優しく、丁寧に舐めはじめた。


大して気持ちも良くないし、逆に気持ち悪いけれど、それが約束だから仕方がない。

その上、ここで感じている振りをしないと、お小遣いの額が少なくなるから、気は抜けない。

恥ずかしそうに。

あくまで恥ずかしそうに、唇から漏れる吐息が、おじさんの気持ちを、盛り上げるのだ。


こんな事、はっきり言って虚しい。

私だって、本当は好きな人に抱かれたい。

でも、そんな事も言ってられない。




“生きていかなきゃいけないから”




それに、男の人が自分の身体を使って、性処理するなんて、もう慣れた。


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