策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす
普段は一切見せない獰猛な表情に、千鶴の心臓がバクバクと高速でリズムを刻み始める。それは決して恐怖ではなく、彼から求められていることへの喜びだった。
「はい」
千鶴が素直に頷くが早いか、噛みつくような口づけが降ってくる。そのままベッドに押し倒され、キスに夢中になっている間に、服と一緒に理性まで剥ぎ取られていった。
一糸まとわぬ姿の千鶴に余す所なく唇を寄せ、敏感な部分を舐められ、何度も目の前が真っ白になるほどの快感を与えられる。
自分がどんな格好をしているのか、なにを言っているのかもわからなくなるほど、伊織の責めは甘く執拗だった。
「あっ、もう、だめですっ……」
「ダメじゃない。もっと、俺だけしか見られない千鶴が見たい」
大きく脚を開かせ、その間に顔を埋めた伊織が艶めかしく笑う。まじまじと見られながら指と舌で愛されるのは、羞恥心と快楽の狭間で頭がおかしくなりそうだった。
泣きながら伊織を請い、ようやくひとつになれたあとも、伊織は本能のまま貪るように千鶴を抱いた。
「いお、り、さん……好き、大好きっ……」
「俺も。愛してるよ、千鶴。君は俺だけのものだ」
意識が飛びそうになっては快感で叩き起こされ、夜通し愛された。
いつもは千鶴ばかりを優先する伊織が我を忘れて自分を求めてくれている。気持ちよくて、幸せで、なによりも彼が愛おしい。
千鶴が気を失うように眠りにつくまで、ふたりは何度も愛を交わした。