策士な外交官は計画的執愛で契約妻をこの手に堕とす
「はい、ありがとうございます」
「これで諦めてくれたらいいんだけどな」
伊織はエリックが去っていった方向へ視線を向ける。
「だ、大丈夫だと思います。というか伊織さん、演技うますぎますよ」
「……演技?」
千鶴の指摘に、彼は眉を寄せた。一瞬だったけれど、千鶴の目には珍しく不満げな顔に見えた。
「伊織さん?」
「千鶴、君は――」
「随分と楽しそうな展開になってるな」
張りのある男性の声に振り向くと、スーツ姿の長身男性ふたりが立っていた。ひとりは硬質な美しさ、もうひとりはワイルドな雄々しさを感じさせる。タイプは違えどふたりとも整った顔立ちで、会場内の女性の視線を釘付けにしていた。
「城之内、雨宮。来てたのか」
「あぁ。デザイン庁の副大臣が来ると聞いたから、ちょっと顔を繋いでおきたくて。それより、俺たちにも紹介してくれるか?」