旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
母の知人が理事長を務める医療法人で働き始め、かれこれ四年になる。
前職を退職してしまってから破談となった私のために、四年前、母が伝手を駆使して探してくれた仕事だ。事務職の契約枠で採用してもらい、今では正規のスタッフとして働いている。
母は、結婚を機に私が仕事を辞めるものと思い込んでいたらしい。
続ける意向を伝えた一年前、驚きを隠そうともしなかった。収入の問題でそうしているわけではないことは理解してくれているようだけれど、いまだにこうして電話のたびに訊かれてしまう。
『あのね薫子、……こういうの、訊いちゃ駄目だって分かってるんだけど』
「ん?」
『ほら、そろそろ……子供とか、どうなの?』
顔が引きつった自覚はあった。同時に、何度も尋ねざるを得ないほどその報告を楽しみにしているだろう母に、申し訳なさも覚えてしまう。
結局、私は今も両親に心配をかけ続けているのだと思い知らされるのはこういうときだ。
このやり取りが電話で良かった。『いつまで仕事を続けるつもりか』という質問の後にはいつもこの話になるから、おおよそ予想はついていたけれど。
「うん。そういうのって授かりものだし、……なんかごめん」
わざと謝ってから、私って性格悪いな、と自分に嫌気が差した。
先に謝れば、母はきっとなにも言えなくなる――そうと分かっていてそうしたのだから。
前職を退職してしまってから破談となった私のために、四年前、母が伝手を駆使して探してくれた仕事だ。事務職の契約枠で採用してもらい、今では正規のスタッフとして働いている。
母は、結婚を機に私が仕事を辞めるものと思い込んでいたらしい。
続ける意向を伝えた一年前、驚きを隠そうともしなかった。収入の問題でそうしているわけではないことは理解してくれているようだけれど、いまだにこうして電話のたびに訊かれてしまう。
『あのね薫子、……こういうの、訊いちゃ駄目だって分かってるんだけど』
「ん?」
『ほら、そろそろ……子供とか、どうなの?』
顔が引きつった自覚はあった。同時に、何度も尋ねざるを得ないほどその報告を楽しみにしているだろう母に、申し訳なさも覚えてしまう。
結局、私は今も両親に心配をかけ続けているのだと思い知らされるのはこういうときだ。
このやり取りが電話で良かった。『いつまで仕事を続けるつもりか』という質問の後にはいつもこの話になるから、おおよそ予想はついていたけれど。
「うん。そういうのって授かりものだし、……なんかごめん」
わざと謝ってから、私って性格悪いな、と自分に嫌気が差した。
先に謝れば、母はきっとなにも言えなくなる――そうと分かっていてそうしたのだから。