旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
眉を寄せつつテーブルへ近寄っていく。
窓からの光の反射で見えなかったA4サイズのクリアファイルの中身が、急に鮮明に見えた瞬間、完全に息が止まった。
「……は……?」
半分に折り畳まれているらしき書類の左上に〝離婚届〟の緑の三文字を認め、瞬きひとつできなくなる。
離婚届……離婚届?
頭がフリーズしたきり、テーブルにそろそろと腕が伸びていく。左右に並ぶ記載欄の右側にだけ、少し丸みを帯びた癖のある字がすでに刻まれている。記入済みの筆跡は、明らかに薫子のそれだった。
〝記入をお願いします〟
業務連絡じみた付箋が貼られたクリアファイルを持つ自分の指が、にわかにカタカタと震え出す。
『嫌われ確定じゃん』
『あたしなら離婚考えるわ』
幼馴染の声が脳内をリフレインする。
花束の紙袋が、力の抜けた指を滑って床に落ち、それきり自分はその場に膝から崩れ落ちてしまった。
窓からの光の反射で見えなかったA4サイズのクリアファイルの中身が、急に鮮明に見えた瞬間、完全に息が止まった。
「……は……?」
半分に折り畳まれているらしき書類の左上に〝離婚届〟の緑の三文字を認め、瞬きひとつできなくなる。
離婚届……離婚届?
頭がフリーズしたきり、テーブルにそろそろと腕が伸びていく。左右に並ぶ記載欄の右側にだけ、少し丸みを帯びた癖のある字がすでに刻まれている。記入済みの筆跡は、明らかに薫子のそれだった。
〝記入をお願いします〟
業務連絡じみた付箋が貼られたクリアファイルを持つ自分の指が、にわかにカタカタと震え出す。
『嫌われ確定じゃん』
『あたしなら離婚考えるわ』
幼馴染の声が脳内をリフレインする。
花束の紙袋が、力の抜けた指を滑って床に落ち、それきり自分はその場に膝から崩れ落ちてしまった。