旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
ここで落ち合うとき、自分たちは仕事の話をしない。
だからか、織田原も「私用なのはまぁ分かってたけど」と零しつつも、衝撃が抜けないとばかりに頭を掻いている。
「離婚届……ってあの離婚届? 緑の?」
「ああ。緑の」
「それもう小手先で機嫌取ってなんとかなる感じじゃなくね?」
はぁ、と露骨な溜息を落とした織田原の声は苦々しい。
「元々不満が積もり積もってて、んで記念日忘れたのが最後の背中押しになった、的な感じじゃね?」
遠慮も容赦もない問いかけが胸に突き刺さる。
もう少しオブラートに包んでほしい、いやそんなものなんかで包まれていない率直な助言こそほしい……考え疲れて弱った頭を、複雑な心境がぐらぐらと巡る。
積もり積もった不満。思い当たる節もなければ、それを感じさせる妻の言動もない。だがそれがないとなると、妻の離婚の意思に説明がつかなくなるのも事実だ。
それに、自分でも痛いほど分かっている。薫子はもう離婚を検討している段階にはない。まだ検討している段階なら、記入済みの離婚届を渡してはこない。
つまり、離婚するという未来は、彼女の中でとっくに決まっている。
だからか、織田原も「私用なのはまぁ分かってたけど」と零しつつも、衝撃が抜けないとばかりに頭を掻いている。
「離婚届……ってあの離婚届? 緑の?」
「ああ。緑の」
「それもう小手先で機嫌取ってなんとかなる感じじゃなくね?」
はぁ、と露骨な溜息を落とした織田原の声は苦々しい。
「元々不満が積もり積もってて、んで記念日忘れたのが最後の背中押しになった、的な感じじゃね?」
遠慮も容赦もない問いかけが胸に突き刺さる。
もう少しオブラートに包んでほしい、いやそんなものなんかで包まれていない率直な助言こそほしい……考え疲れて弱った頭を、複雑な心境がぐらぐらと巡る。
積もり積もった不満。思い当たる節もなければ、それを感じさせる妻の言動もない。だがそれがないとなると、妻の離婚の意思に説明がつかなくなるのも事実だ。
それに、自分でも痛いほど分かっている。薫子はもう離婚を検討している段階にはない。まだ検討している段階なら、記入済みの離婚届を渡してはこない。
つまり、離婚するという未来は、彼女の中でとっくに決まっている。