とある村の怖い話
侵入する
猛スピードで夜の町を走る車窓の映像が流れていく。
ほとんど該当のない町の夜は思ったよりも明るく月明かりが差し込んでいて、運転に差し支えはなかった。
達也の荒い呼吸音だけが終始カメラ画面から聞こえてくる。
「くそっくそっ。なんでこんなことに。こんなことになるんだったら、俺だって一緒に村に入ったのに!」
車が急ブレーキをかけて停車する。
カメラの前には大きな鳥居が見えていた。
その奥は闇へと続いていて、さすがに月明かりも届いていない。
「頼むよ鳥居! 俺をいまよい村に行かせてくれ!」
カメラをかかげた達也が叫ぶ。
しかしもちろん鳥居や山からの返答はない。
その声に驚いて鳥が何羽か飛び立っただけだ。
「頼む頼む頼む頼む」
ズボンが汚れるのも構わず、その場に膝をついて手を合わせているようだ。
カメラ映像が子供くらいの高さになった。
「お願いだ。雄一たちのところに通してくれ!」
膝をついたままの状態で鳥居をくぐる。
けれどその先に小道は現れない。
「頼むよ! このままひとりで帰るなんてできねぇよ」
ほとんど該当のない町の夜は思ったよりも明るく月明かりが差し込んでいて、運転に差し支えはなかった。
達也の荒い呼吸音だけが終始カメラ画面から聞こえてくる。
「くそっくそっ。なんでこんなことに。こんなことになるんだったら、俺だって一緒に村に入ったのに!」
車が急ブレーキをかけて停車する。
カメラの前には大きな鳥居が見えていた。
その奥は闇へと続いていて、さすがに月明かりも届いていない。
「頼むよ鳥居! 俺をいまよい村に行かせてくれ!」
カメラをかかげた達也が叫ぶ。
しかしもちろん鳥居や山からの返答はない。
その声に驚いて鳥が何羽か飛び立っただけだ。
「頼む頼む頼む頼む」
ズボンが汚れるのも構わず、その場に膝をついて手を合わせているようだ。
カメラ映像が子供くらいの高さになった。
「お願いだ。雄一たちのところに通してくれ!」
膝をついたままの状態で鳥居をくぐる。
けれどその先に小道は現れない。
「頼むよ! このままひとりで帰るなんてできねぇよ」