ずぶ濡れ女子の誘惑に負けてHしてしまったけど、どうやらHしてはいけない子だったようです。
それから半年後のこと。
「兄さん、俺の彼女に赤ちゃんできてさ、近々結婚するから」
と、弟の高矢から連絡が来た。
「はぁ!?おまっ、デキ婚かよ!?いつのまにそんな……」
「いやさぁ、本当は色々あって1度別れたんだけどさ、日南子が俺の赤ちゃんができたって言うからさ。じゃあ結婚しようぜーってなったんだ」
「1度別れたって……おいおい……お前てきとーすぎないか?そんなんで結婚して大丈夫か?」
「大丈夫!彼女のこと、別に嫌いになって別れたーとかじゃないし。てか、今でもめっちゃ好きだし!だから、大丈夫だよ」
「だといいけど……」
「それで来週日曜日、親父とお袋と、そんで兄さんに日南子の紹介したいんだけど──……ちょっとだけでいいから、実家に来れるかな?」
「うん、来るよ」
電話を切ると。
「はぁ~……デキ婚、まじかよ。あいつちょっと、フラフラしてるところあるからな~……大丈夫かよ。結婚かぁ~……弟に先越されたか……」
はぁ~……と溜め息をつきながら、スマホをテーブルに置いた。
◆
実家は、俺の今暮らしているアパートから車で一時間ほどのところにあるので、土曜日の夜には実家に帰り、久しぶりに親父とお袋とご飯を食べた。
そして、日曜日───
「ただいま」
「お、お邪魔します」
弟が例の彼女を連れてやって来た。
「は、始めまして、妹尾日南子です」
弟たちの声がすると、親父とお袋はすぐに玄関に向かった。俺は親父たちより少し遅れて玄関に行くと、弟の彼女は親父たちに頭を下げていた。かなり緊張しているのだろう、声が少し震えていた。
……あれ?この声聞き覚えが。それにどっかで見たことあるような────……
彼女が頭を上げた瞬間──俺の背中に寒気が走った。
「え……」
彼女も俺に気づいたのか、俺の目を見つめ固まった。
あの雨の日、公園でずぶ濡れになっていた……彼女だった。


