ずぶ濡れ女子の誘惑に負けてHしてしまったけど、どうやらHしてはいけない子だったようです。



 それから半年後のこと。

「兄さん、俺の彼女に赤ちゃんできてさ、近々結婚するから」

 と、弟の高矢(こうや)から連絡が来た。

「はぁ!?おまっ、デキ婚かよ!?いつのまにそんな……」
「いやさぁ、本当は色々あって1度別れたんだけどさ、日南子(ひなこ)が俺の赤ちゃんができたって言うからさ。じゃあ結婚しようぜーってなったんだ」
「1度別れたって……おいおい……お前てきとーすぎないか?そんなんで結婚して大丈夫か?」
「大丈夫!彼女のこと、別に嫌いになって別れたーとかじゃないし。てか、今でもめっちゃ好きだし!だから、大丈夫だよ」
「だといいけど……」
「それで来週日曜日、親父とお袋と、そんで兄さんに日南子の紹介したいんだけど──……ちょっとだけでいいから、実家に来れるかな?」
「うん、来るよ」

 電話を切ると。

「はぁ~……デキ婚、まじかよ。あいつちょっと、フラフラしてるところあるからな~……大丈夫かよ。結婚かぁ~……弟に先越されたか……」

 はぁ~……と溜め息をつきながら、スマホをテーブルに置いた。



 実家は、俺の今暮らしているアパートから車で一時間ほどのところにあるので、土曜日の夜には実家に帰り、久しぶりに親父とお袋とご飯を食べた。

 そして、日曜日───

「ただいま」
「お、お邪魔します」

 弟が例の彼女を連れてやって来た。

「は、始めまして、妹尾日南子(せのおひなこ)です」

 弟たちの声がすると、親父とお袋はすぐに玄関に向かった。俺は親父たちより少し遅れて玄関に行くと、弟の彼女は親父たちに頭を下げていた。かなり緊張しているのだろう、声が少し震えていた。

 ……あれ?この声聞き覚えが。それにどっかで見たことあるような────……

 彼女が頭を上げた瞬間──俺の背中に寒気が走った。

「え……」

 彼女も俺に気づいたのか、俺の目を見つめ固まった。




 あの雨の日、公園でずぶ濡れになっていた……彼女だった。




< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:12

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop