次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています


 タクシーに乗って達成さんと一緒に向かったのは、隠れ家的なレストランだった。
 店の周りが花や木々に囲まれたレストランで、入り口もひっそりとしている。知る人ぞ知る、といった趣きのあるレストランで、私は中に入る直前まで何度も達成さんに確認した。

「本当にここに入るの……? ドレスコードとか……」
「大丈夫。ここ、知り合いがやってるレストランだから。見た目は格式高そうだけど、カジュアルなイタリアンだよ」
「そ、それなら……」

 彼の言葉を信じて店の中へと入る。

 外装も白塗りで西洋風の造りだったけれど、内装もシャンデリアなどが天井から吊られており、見るからに普通のイタリアンとは一線を画していた。

「先ほど電話した広瀬です」
「広瀬様ですね。お待ちしておりました」
「孝太郎は?」
「シェフは手が離せず……。申し訳ございません」
「いや、急だったから大丈夫」
「ふふふ。いつも電話を寄越すのが急なんだから、と言いつつも嬉しそうにしていましたよ」

 案内人としてやってきた年配の女性が達成さんと親しげに話し始める。個室の席へ通されるまでの間に、このレストランのオーナーとは旧知の仲で、よく利用していることを教えられた。

「さ、好きなものを頼んで」
「本当にいいの?」
「もちろん」

 そう言われたら遠慮するのも悪い気がする。何よりお腹が空いていたため、私は素直に食べたいものを注文した。

「お酒は飲む?」
「うーん……。じゃあ、少しだけ」

 あいにく、明日はオフだ。少々、飲みすぎたって困らない。
 私は料理と一緒にワインも頼み、彼と飲むことにした。
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