次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「どうぞ、いまここで吐き出してください。僕が受け止めますから」
「でも……」
「大丈夫。ここで聞いたことは他言しません」

 彼の優しい言葉に絆されて、彼との馴れ初めや婚約破棄のこと、実はここの従業員で、みんな私の婚約を知っており、婚約自体がなくなったとは言いづらいことなどをつらつらと話す。

 きっと、アルコールのせいで舌の滑りがよすぎたのがよくなかったのかもしれない。
 彼は途中まで静かに話を聞いてくれていたけれど、だんだん私の愚かな行動や考え方に対して指摘を入れるようになった。

「そもそも、男性を見る目がないのでは?」
「うっ……」
「名前を呼び間違えられた時点で黒です。それに気付かないとは……随分と鈍感なのですね」
「えっ」
「というか、その指輪、ホンモノだったのでしょうか? いや、回収するぐらいですから、イミテーションではないのでしょうけど……。お話を聞くに、あまりお金を持っていらっしゃないようなので、あなたに贈った指輪もたかがしれているかと」
「うぅ……」

 あまりにも正論でちくちくと言われて、悲しみの気持ちが引っ込んでいく。
 なんだか、婚約破棄されたという、私にとってはビッグニュースすぎる出来事を、コンテンツとして楽しまれているようだった。
 このからかってくる感じ、過去にも味わったことがある気がしてムズムズする。
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