斑くんの激重愛に抗うためには

 後ろにある腕が何かに引っ掛かって、力が入れづらい。いや、足も。

 ぐ、ぐ、と抵抗してみてもビクともせず。


 体に掛けられた毛布を数分かけて必死に剥がしたことで、全貌が明らかとなった。



 ──手足が縛られている。



 手はネクタイで、足はベルト。どちらも私が斑くんから外したはずのもの。



「どう、いう……え、え?」



 頭の上を行き来する疑問符。まるで中間の記憶が抜け落ちたみたいな感覚だった。

 私の知らない内に、急展開が起こったとしか思えない。


 そうだ、斑くんは?

 斑くんがやったんだよね、それ以外ありえないし。


 たぶん遊びでやっただけだろうから、早く解いてもらおう。

 ……遊びじゃなかったら怖いけど。

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