斑くんの激重愛に抗うためには
ミカちゃんは一瞬だけ目を丸くしたけど、すぐに小さく頷いてくれた。
ミカちゃんの隣、そのまた隣。紙は、授業の隙を縫って静かに進藤くんの元へ渡されていく。
私はその一連の流れを確認し終えて、消されない内に黒板を写した。
通常の授業風景を装う。
でも、内心は全く落ち着いていない。
たった一文なのに、やけに重たい一歩だった。
やがて、気配を感じて顔を上げると──進藤くんが何気ない顔でこちらを見ていた。
でも、その目はほんの少しだけ、何かを探るような色をしていた。
そして数分後。
進藤くんがノートのページをめくるふりをしながら隣に渡した紙は、逆再生のように道をたどり、ミカちゃんの机の端に戻っていく。
まるで最初からそこにあったかのように、自然に。