斑くんの激重愛に抗うためには




 授業中。斑くんに干渉されない時間。

 みんながノートに板書を写す中、私は一人で暴れそうな鼓動を抱えていた。


 斜め前方に、進藤くんの後ろ姿が見える。

 本当なら、無視する方が安全なんだけど……。


 机から紙切れを取り出す。捨てられず、ファイルに挟まったままだった進藤くんのメッセージ。

 その裏に、ノートを取るふりをしてペンを走らせた。



 ──あれから一色はどうしてる?



 私と斑くんが今みたいになった発端。

 それが完全に解消されているとわかれば、私が守られる理由はなくなるはず。


 書き終えた紙を折り畳む。

 先生が黒板の方を向いたのを確認しながら、ミカちゃんの肩を叩いた。



「……これ、進藤くんまで回してくれる?」



 こっそりささやき、紙を手渡す。

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