隣の部署の佐藤さんには秘密がある
 次の日。さきはクローゼットを開けた。佐藤さんとデートだから、正直サンチェス=ドマーニのワンピースで行きたい。でも、気合が入り過ぎていることが伝わってしまうのは恥ずかしい。

「服は違うやつにして、アクセサリーをサンチェス=ドマーニにしよう!」

 そう決心したが、クローゼットの中にある服はどれも微妙だ。こんなことになるなら、サンチェス=ドマーニ以外の服もちゃんと買っておけばよかった。結局、仕事の時と変わらない無難なコーディネートになった。

「バッグを使わせて頂こう!」

 勿体ないという思いを押し込めて、佐藤さんに買ってもらったサンチェス=ドマーニのバッグを箱から取り出した。家で大切に保管していたい気持ちはあるが、佐藤さんに買ってもらったのだから、外に出した方が良い。それにこのバッグは、普通に持っていても変な目立ち方はしない素晴らしいバッグなのだ。

「あとは……このイヤリングにしようかな。」

 私は花のモチーフがついたイヤリングをつけて、鏡で全身をくまなく確認した。

「よし!これで大丈夫。」

 休みの日に佐藤さんと会うのは、レセプションの日以来だ。佐藤さんはどんな格好で来るのだろうか。サンチェス=ドマーニ……では来ないで欲しい。あの佐藤さんが駅にいたら事故が起きる。私はドキドキしながら待ち合わせ場所へ向かった。
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