隣の部署の佐藤さんには秘密がある
 私は重い体を起こした。外を見ると薄暗い。また寝過ぎてしまった。時間を確認しようとしてスマホを見た私は思わず放り投げた。

「忘れてた!」

 休みの日なら彼氏でも良いだろうと思って待受を佐藤さんに変えたことを忘れていた。これでも大分見慣れてきた。なんとか数十秒は耐えられる。

「今日はどんな撮影なんだろう……」

 またデートのシチュエーションで撮影しているのだろうか。前回は外のデートだったから、次はおうちデートだろうか。

「いや、家はまずいよね。家って……ははは」

 きっとまた直視できない写真を撮っているに違いない。気になる。今日の撮影の話を聞きたい。できたらまた写真が欲しい……!

『お疲れ様です!今日の撮影はどんな感じだったんですか?感想を教えてください。』

 本当は写真をくださいと言いたいけれど、それはあまりに直接的だ。感想を聞けばもしかしたら写真を送ってくれるかもしれない。私はメッセージを送信して、スマホの佐藤さんを見つめる時間を延ばすための訓練を始めた。
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