隣の部署の佐藤さんには秘密がある
24.未練
次の日は心も体もだるかった。眠れていないし、目も腫れている。もう早く出勤する必要はないけれど、顔を見ただけで泣きそうだから佐藤さんには会いたくない。私はこれまで通り早めに出勤した。
本城さんは今日も機嫌が悪いから、佐藤さんの部署は忙しいのだろう。私の部署は大して忙しいわけではなかったけれど、佐藤さんと会わないようにするため忙しいふりをしていた。
ランチの時間になると、さっそくみゆきに指摘された。
「うわ、なに、どうしたの、その目!」
「ちょっと色々あって……」
恋愛話が好きなみゆきのことだから、根掘り葉掘り聞いてくることだろう。今日は遠慮せずに話せることは話して泣こうと心に決めていると、みゆきはため息をついた。
「別れたくないなら別れなきゃいいじゃん。より戻しなよ。佐藤さんが来ないと、あの部署永遠にピリピリするかもしれないのよ?」
「佐藤さん休んでるの?」
「休職って噂だよ。てっきりさきに振られて失恋のショックで休んでるのかと思った。」
「ちょっと最近忙しくて会えなかったからそれで……」
「忙しくて会えないのは寂しいけど、そのうち落ち着くから、より戻しなって。そうすれば、佐藤さん出勤するかもしれないよ?」
「そんなわけないよ。」
休職はモデルに専念するためかもしれない。モデルを本業にして水伊勢の家業を手伝うことになるのだろう。
ランチを終えて店を出ると、液晶スクリーンにサンチェス=ドマーニを纏ったKOTAの姿が映し出されていた。あれぞ佐藤さんの真骨頂。誰も寄せ付けない色気と着こなし。周囲には私と同じようにKOTAの姿を見つめる女性がたくさんいた。
(夢、叶ったんだな……)
付き合っていたら、佐藤さんになんて伝えただろう。健斗さんのBARではどんな話をしただろう。次の新作は何か、どんな作品を着たのか、未発表の作品はどんなものか……佐藤さんと話したいことがたくさんある。
「サンチェス=ドマーニカップルだったもんね~早くより戻しなよね。」
みゆきはそっとハンカチを差し出してくれた。
本城さんは今日も機嫌が悪いから、佐藤さんの部署は忙しいのだろう。私の部署は大して忙しいわけではなかったけれど、佐藤さんと会わないようにするため忙しいふりをしていた。
ランチの時間になると、さっそくみゆきに指摘された。
「うわ、なに、どうしたの、その目!」
「ちょっと色々あって……」
恋愛話が好きなみゆきのことだから、根掘り葉掘り聞いてくることだろう。今日は遠慮せずに話せることは話して泣こうと心に決めていると、みゆきはため息をついた。
「別れたくないなら別れなきゃいいじゃん。より戻しなよ。佐藤さんが来ないと、あの部署永遠にピリピリするかもしれないのよ?」
「佐藤さん休んでるの?」
「休職って噂だよ。てっきりさきに振られて失恋のショックで休んでるのかと思った。」
「ちょっと最近忙しくて会えなかったからそれで……」
「忙しくて会えないのは寂しいけど、そのうち落ち着くから、より戻しなって。そうすれば、佐藤さん出勤するかもしれないよ?」
「そんなわけないよ。」
休職はモデルに専念するためかもしれない。モデルを本業にして水伊勢の家業を手伝うことになるのだろう。
ランチを終えて店を出ると、液晶スクリーンにサンチェス=ドマーニを纏ったKOTAの姿が映し出されていた。あれぞ佐藤さんの真骨頂。誰も寄せ付けない色気と着こなし。周囲には私と同じようにKOTAの姿を見つめる女性がたくさんいた。
(夢、叶ったんだな……)
付き合っていたら、佐藤さんになんて伝えただろう。健斗さんのBARではどんな話をしただろう。次の新作は何か、どんな作品を着たのか、未発表の作品はどんなものか……佐藤さんと話したいことがたくさんある。
「サンチェス=ドマーニカップルだったもんね~早くより戻しなよね。」
みゆきはそっとハンカチを差し出してくれた。