二人で恋を始めませんか?
無事に神前式とオーベルジュの予約を入れ、着々と結婚式に向けての準備を始めた。
オーベルジュのスタッフは、「お二人の佳き日をお手伝い出来て光栄です」と喜んでくれ、レストランのシェフも「精いっぱいお祝いの心を込めて作らせていただきます」と意気込んでいた。

桜貝のアクセサリーショップでも、拾った桜貝を結婚指輪の内側に埋め込んでオーダーメイドて作ってくれることになり、「お二人らしい、唯一無二のマリッジリングにしますね」と言ってくれた。

茉莉花は、結婚後もしばらくは別居婚になると思い込んでいるが、当然優樹にそのつもりはない。

「業績を回復させられたら、来年の4月から本社に戻りたい」
そう上司に直談判し、具体的な数字を挙げてもらった。
達成するのは決して簡単ではない。
だが、諦めるつもりは毛頭なかった。

必ず茉莉花のもとへ帰る。
やり遂げてみせる。
茉莉花にふさわしい男である為にも。
そう力が湧いてきた。

(こんなにも、茉莉花が俺を奮い立たせてくれるとは)

守るべき、か弱い存在だった女の子から、いつの間にこれほど強く綺麗な女性になったのだろう。

幸せにしなければ。
必ず自分が幸せにしてみせる。
どんな時も自分を信じ、溢れるほどの愛をくれる、優しくて愛おしい人を。

優樹は日々、その想いを強くしていった。
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