私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない

モデル事務所の社長の貝原は幸の条件を
ほとんど吞んでくれたが、モデルの期間は
最低3年、それまでにユキが見つかっても
３年間はモデルとして働く事３年たったなら
いつ辞めてもいいと言ってくれた。

一応そういうことも契約書に盛り込んで
もらって幸はモデルとして働き始めたのだ、
ユキという芸名で…

まずはモデルとしてのスキルを指導された
講師の先生にウオーキング、ポージング、
自然な笑い方等

そしてカメラマンの人には自分が一番
きれいに見える角度をちゃんと覚える事を
教えられた。

色々な角度から写真を撮ってもらって
自分でも確認しながら目の使い方ひとつで
印象が変わることも知ったし、顔だけでなく
全体の立ち姿や座る時も脚の綺麗に見える
座り方をするように様々なバージョンを
想定してカメラワークを教えられた。

１カ月みっちり仕込んでもらって
仕事が始まった。

社長の貝原自身が幸のマネージャーとなって
仕事を取ってきた。

まずは女性誌やファッション誌のモデルから
始まって、すぐにCMの契約も取ってきた。

ＣＭは有名化粧品のものとアルコール飲料の
２社のＣＭだ。

CMモデルはオーデｲションがある。

大きな会社になればなるほど競争率は高くなる

幸は2社ともオーデｲションに受かった。

モデルとして働き始めて直ぐにこんな大きな
ＣＭをものにするなんて、すごいなと貝原も
びっくりしていたが、ただ運がよかったと
思っている。

化粧品のほうは幸の上半身のアップの写真が
街中に貼られた。

東京の有名な交差点のビルの壁面に
幸の顔がアップで写っている。