私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない

青い瞳のビーナス

その次の日からユキと連絡が取れなくなって
しまったという事だった。

一法律事務所のほうからも何人かユキを
探しにA市に行ってくれたのだが、
何も足取りはつかめていない。

忽然と消えたユキに幸はどうしていいか
わからず仕事の休みの日や有休をとって
毎週ユキの写真を持ってA市を訪れて
朝から晩までユキを探して回ったのだ。

もう3カ月もこんな生活を続けていて
有休もほとんど使ってしまった。

幸はホテルの仕事を辞めてユキを探すために
モデルになる事を決めた。

何枚か貰った名刺の中で一番誠実そうな
社長の事務所を訪ねて行った。

そしてその社長にどうしてモデルをやろうと
思ったのかその理由を話して、
おこがましいが幸の条件で働かせて
もらえないかと聞いた。

その条件とは、ユキを見つけるためにモデルに
なるのでユキが見つかったらすぐに
辞めたい事そして水着にはならない事。

なるべくテレビCMに採用されるようにしたい。

そして幸のキャッチフレーズは
自分で言うのもおこがましいが
”青い瞳のビーナス“にしたい事を伝えた。

貝原社長はそれは幸にぴったりの
キャッチフレーズだなと言ってくれた。

ユキが幸をいつもそう呼んでいたので、
それをどこかで聞いたならユキが幸の元に
戻ってきてくれるかもしれない。

一人で探すには限界があった。

一法律事務所では興信所を頼んで探して
くれているがこの3カ月成果は出ていない。

だから、幸はモデルになって幸の姿を世間に
さらしてユキを探そうと決めたのだ。
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