私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
記憶喪失
そのころユキはA市からずっと
南の漁村にいた。
1年前に海岸に倒れていたのを、
関本裕美(セキモトユミ)と恵子(ケイコ)の母娘に
助けられたのだ。
2人は早朝に海岸に打ち揚げられるわかめを
取りに来ていたのだ。
そこで倒れているユキを見つけてくれた。
とりあえず二人で車に乗せて家に連れて
帰ってユキのずぶぬれになっていた服を
脱がせて、5年前に亡くなった父親の服を
着せて布団に寝かせて水を飲ませようと
したがユキはピクリとも動かなかった。
身元が分かるものは何も持っていなかった
のだが右手を固く握っているのでこじ
開けてみると、何かのバッチのような
ものを握っていた。
とりあえず村の医者に来てもらうしか
思いつかず朝早い時間ではあるが
佐々木先生に電話をしたら、すぐに
駆け付けて来てくれたそうだ。
何とか息はしているし、栄養剤の点滴を
することにして看護士に点滴を
取りに帰らせた。
体が冷え切っていることから長時間海に
浸かっていたのかもしれないので体を
温めて水を飲ませるようにと言われた
裕美と母親の恵子はストーブを出してきて
部屋を暖めた。
5月の陽気でストーブをたくのはかなり
熱かったのだがそんなことは言ってられ
なかった。
そして、二人で手足をマッサージして
冷え切った体に血が送られるように
ずっとユキの体をさすり続けてくれたのだ
点滴も功を奏したのか、その日の昼すぎに
ユキは目を覚ました。
南の漁村にいた。
1年前に海岸に倒れていたのを、
関本裕美(セキモトユミ)と恵子(ケイコ)の母娘に
助けられたのだ。
2人は早朝に海岸に打ち揚げられるわかめを
取りに来ていたのだ。
そこで倒れているユキを見つけてくれた。
とりあえず二人で車に乗せて家に連れて
帰ってユキのずぶぬれになっていた服を
脱がせて、5年前に亡くなった父親の服を
着せて布団に寝かせて水を飲ませようと
したがユキはピクリとも動かなかった。
身元が分かるものは何も持っていなかった
のだが右手を固く握っているのでこじ
開けてみると、何かのバッチのような
ものを握っていた。
とりあえず村の医者に来てもらうしか
思いつかず朝早い時間ではあるが
佐々木先生に電話をしたら、すぐに
駆け付けて来てくれたそうだ。
何とか息はしているし、栄養剤の点滴を
することにして看護士に点滴を
取りに帰らせた。
体が冷え切っていることから長時間海に
浸かっていたのかもしれないので体を
温めて水を飲ませるようにと言われた
裕美と母親の恵子はストーブを出してきて
部屋を暖めた。
5月の陽気でストーブをたくのはかなり
熱かったのだがそんなことは言ってられ
なかった。
そして、二人で手足をマッサージして
冷え切った体に血が送られるように
ずっとユキの体をさすり続けてくれたのだ
点滴も功を奏したのか、その日の昼すぎに
ユキは目を覚ました。