私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない

切れなかった絆

ユキは週刊誌の記事を食い入るように
見ていた。

出先で昼食を食べるために入った昔風の
ザ・喫茶店で何気なしに手に取った週刊誌に
“青い瞳のビーナス”御曹司と熱愛か!という
文字が表紙にあって、思わず手に取ったのだ。

相手はMグループの御曹司で競馬場で二人で
仲良くパドックに佇む姿や馬主席で持ち馬が
優勝したらしく喜んで抱き合っている二人の
姿が写真に撮られていた。

その週刊誌はもう1カ月くらい前のもので、
それ以上は何もわからなかった。

その御曹司とどうなったのかどうして
二人で競馬場にいたのかも、
書いてなかった。

ユキはMグループと言う事で馬と関連する
会社を探していくと三崎グループという
会社に行き当たった。

そういえば少し前に幸がどこかの乗馬
クラブのCMのモデルになっていて、
そのクラブに通い始めたという報告が
上がっていた。

ユキは定期的に幸の動向を興信所を
使って調べているのだ。

幸がどこで何をしているか心配で
今度こそは遅れたくないし、手遅れになる
前に幸を捕まえると決めているからだ。

しかしこんな記事が出ているのに
何の報告もなかった。

使えない興信所だ。

他の所に変えた方が良いのかと思案しながら、
ネットで三崎グループを検索してみると、
三崎グループの御曹司が
YKコーポレーションの社長令嬢と婚約し
両会社の合併が発表されたという
記事が出ていた。
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