私を忘れた彼を やっぱり私は忘れられない
幸は那覇市のコンドミニアムに
滞在していた。

興信所の報告によると、琉球ガラスの
工房に通って吹きガラスの講座を
受けているらしい。

物作りの好きな幸らしいと思わず
にやついた。

ユキの読みが当たっていた。

幸は毎日、近くのスーパーで食材を
仕入れて部屋で料理をしているらしい。

そして驚いたことには幸は集中コースで
自動車教習所に通っているのだ。

最終的な学科試験は住民票のある東京
でしか受けられないが教習所は全国どこで
終えてもいいのだ。

集中コースだと2週間くらいで卒業も可能だ

幸は教習所に通いながら吹きガラスや
ビーズアートやキャンドル作りの講座を
楽しんでいるようだ。

幸には本当にびっくりする。

免許証を取るなんて思ってもみなかった。

でも、ユキを支えるために高校生の時から
働き詰めだったし、ユキを探すために
モデルになってからはそんな時間も
なかっただろう。

だから今、自分のしたい事を楽しんで
やっているのだ。

そんな幸が不憫で心が痛む。

幸は今日は吹きガラスの工房にいるらしい。

ユキは教えられた工房に行ってみると、
ちょうど幸がガラスのコップを愛おしそうに
眺めながら工房から出てきた。

ユキは幸の後ろから声をかけた

「幸」
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