魔法使い時々王子
アリスがコカール城から王宮へ戻ってきたのは、年が明けてすぐのことだった。
気が重かった家族との休暇を何とかやり過ごし、ようやく日常へと戻ってきた彼女の足取りは、行きのときよりもいくらか軽い。

王宮では、新年を迎えるにあたり、例年通りの忙しさが戻っていた。
年始の儀式の一環として、国中の地主や貴族たちが挨拶のために足を運び、大広間には晴れ着をまとった人々がひしめいている。
格式ばったやりとりが続く中、笑顔も緊張も入り混じりながら、王宮全体が新たな年の空気に染まっていた。

セラも休暇を終えて戻り、朝から魔法薬の棚を整理しながら、年末の出来事をシドに一方的に話していた。
その隣では、ロザリアがすでに数人の貴族と打ち合わせを始めていた。

シドも、年末とは打って変わってすっかり仕事モードに戻っていた。
騒がしさと共に始まった新年だが、不思議と落ち着いている自分に気づいていた。
――今年も、王宮での一年が始まる。
そんな実感が、ようやく胸に染みていた。
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