魔法使い時々王子
第十章 囁かれる秘密
冬の空気は冷たいが、陽光は柔らかく薬草畑を包んでいた。
王宮の裏庭――その一角にある畑では、シドとセラが並んで鍬を振るっていた。
「ふぅ……冬の畑仕事って、思ったより重労働ね」
セラが額の汗を拭い、肩を回す。
「まぁな。土が固いから余計に堀り起こしづらい」
シドは鍬を地面に突き立てながら、淡々と答えた。
薬草畑のすぐ隣では、近衛隊が剣の稽古をしている。
掛け声や金属のぶつかる音が響き、冬の静けさを破っていた。
ふと視線を上げたシドは、剣を振るうアルバの姿を見つけた。
相変わらず真っすぐな剣筋――だが、シドの胸中に浮かんだのは戦いぶりではなく、リアンのことだった。
(……リアンとは、どうなったんだ?)
「シド、そろそろ休憩にしよー?」
セラの声で思考が途切れる。
2人で鍬を置き、畑の端に腰を下ろした。
「…あ、いけない。お茶を入れたポットを忘れたわ。取ってくる!」
セラがその場を後にすると、稽古を終えたアルバがこちらへ歩いてくるのが見えた。
そして、まっすぐシドと目が合う。
「少し……話せるか」
低い声に、シドは黙って頷く。
二人は、薬草畑の裏手――人目のない場所に移動する。
「突然すまない。王宮内じゃなかなか会う事もないから……」
アルバの第一声に、シドの表情がわずかに動いた。
「リアンのことだが、」
「……ああ」
「先日、想いを伝えた。……だが、断られた」
あくまで淡々とした声だが、その奥にかすかな苦味があった。
「そうか」
シドは短く答える。口調は冷静だったが、胸の奥にひそかな安堵が生まれていた。
――理由もなく、だが確かに。
アルバは苦笑して首を振る。
「断られた。理由は……『今の自分には、その立場じゃない』ってさ」
短く息を吐いた彼の目には、諦め半分、納得半分の色が宿っていた。
「でも、俺のことを嫌いではないらしい。……それで十分だと思ってる」
シドは、不意に胸の奥が軽くなるのを感じた。何故そんな気持ちになるのか、自分でも少し不思議だった。
王宮の裏庭――その一角にある畑では、シドとセラが並んで鍬を振るっていた。
「ふぅ……冬の畑仕事って、思ったより重労働ね」
セラが額の汗を拭い、肩を回す。
「まぁな。土が固いから余計に堀り起こしづらい」
シドは鍬を地面に突き立てながら、淡々と答えた。
薬草畑のすぐ隣では、近衛隊が剣の稽古をしている。
掛け声や金属のぶつかる音が響き、冬の静けさを破っていた。
ふと視線を上げたシドは、剣を振るうアルバの姿を見つけた。
相変わらず真っすぐな剣筋――だが、シドの胸中に浮かんだのは戦いぶりではなく、リアンのことだった。
(……リアンとは、どうなったんだ?)
「シド、そろそろ休憩にしよー?」
セラの声で思考が途切れる。
2人で鍬を置き、畑の端に腰を下ろした。
「…あ、いけない。お茶を入れたポットを忘れたわ。取ってくる!」
セラがその場を後にすると、稽古を終えたアルバがこちらへ歩いてくるのが見えた。
そして、まっすぐシドと目が合う。
「少し……話せるか」
低い声に、シドは黙って頷く。
二人は、薬草畑の裏手――人目のない場所に移動する。
「突然すまない。王宮内じゃなかなか会う事もないから……」
アルバの第一声に、シドの表情がわずかに動いた。
「リアンのことだが、」
「……ああ」
「先日、想いを伝えた。……だが、断られた」
あくまで淡々とした声だが、その奥にかすかな苦味があった。
「そうか」
シドは短く答える。口調は冷静だったが、胸の奥にひそかな安堵が生まれていた。
――理由もなく、だが確かに。
アルバは苦笑して首を振る。
「断られた。理由は……『今の自分には、その立場じゃない』ってさ」
短く息を吐いた彼の目には、諦め半分、納得半分の色が宿っていた。
「でも、俺のことを嫌いではないらしい。……それで十分だと思ってる」
シドは、不意に胸の奥が軽くなるのを感じた。何故そんな気持ちになるのか、自分でも少し不思議だった。