魔法使い時々王子
シドがそっと身体を離すと、二人の視線が自然に重なった。
どちらからともなく、ふっと微笑みがこぼれる。
涙でも笑顔でもない、その中間のような、あまりに儚い微笑み。
アリスはシドの手を取ると、ぎゅっと強く握りしめた。
細い指先が震えているのが分かる。
「シド……手紙を頂戴。」
シドは瞬きをし、アリスを見つめ直した。
「私は向こうへ行ったら、もう手紙を書くことも出すこともできないの。でも……あなたの魔法なら……私のところへ届けられない?」
アリスの声は必死ではなく、ただ純粋に縋るようだった。
「それで……私からの返事も、あなたに届けることは……出来ないかしら?」
シドは迷うことなく首を縦に振った。
「大丈夫。必ず送るよ。どんなに遠くても――必ず。」
その言葉に、アリスは胸の奥からほっと息を漏らしたように、表情を緩めた。
そして小さく微笑むと、少しだけ姿勢を正し、シドを真っ直ぐに見つめた。
「ねぇ、シド。もう、全ての準備が終わったの。だから……今夜は、まだ時間があるの。教えて。あなたの生い立ちのこと。」
その瞳は揺れていない。
逃げ場も求めていない。
ただ、シドという人を知りたいと願う、真剣でまっすぐな眼差しだった。
シドはその視線を静かに受け止め、やがてゆっくりと頷いた。
「……わかった。話すよ、アリス。」
温室に流れる夜気が、二人を静かに包み込んだ。
どちらからともなく、ふっと微笑みがこぼれる。
涙でも笑顔でもない、その中間のような、あまりに儚い微笑み。
アリスはシドの手を取ると、ぎゅっと強く握りしめた。
細い指先が震えているのが分かる。
「シド……手紙を頂戴。」
シドは瞬きをし、アリスを見つめ直した。
「私は向こうへ行ったら、もう手紙を書くことも出すこともできないの。でも……あなたの魔法なら……私のところへ届けられない?」
アリスの声は必死ではなく、ただ純粋に縋るようだった。
「それで……私からの返事も、あなたに届けることは……出来ないかしら?」
シドは迷うことなく首を縦に振った。
「大丈夫。必ず送るよ。どんなに遠くても――必ず。」
その言葉に、アリスは胸の奥からほっと息を漏らしたように、表情を緩めた。
そして小さく微笑むと、少しだけ姿勢を正し、シドを真っ直ぐに見つめた。
「ねぇ、シド。もう、全ての準備が終わったの。だから……今夜は、まだ時間があるの。教えて。あなたの生い立ちのこと。」
その瞳は揺れていない。
逃げ場も求めていない。
ただ、シドという人を知りたいと願う、真剣でまっすぐな眼差しだった。
シドはその視線を静かに受け止め、やがてゆっくりと頷いた。
「……わかった。話すよ、アリス。」
温室に流れる夜気が、二人を静かに包み込んだ。