魔法使い時々王子
その時、図書館の入り口から足音が聞こえた。

「リト様、そろそろ勉学のお時間です」

リトの側近が静かに告げる。

リトは少しだけ面倒そうな顔をしたが、本を閉じて立ち上がった。

「……続きはまた後で読む」

そう言ってアリスの方を見る。

「無理するなよ」

短く言い残し、側近と共に図書館を後にした。

静かな空間に戻る。

図書館には、アリスとノエルの二人だけが残された。

アリスはふとノエルの方を見る。

「ノエルさんは、リトと仲がいいんですね」

そう問いかけると、ノエルは柔らかく微笑んだ。

「リト様がこの図書館へ通い始められたのは、五歳の頃からです」

「初めのうちは、ほとんどお話をしてくださらなかったのですが……」

少し懐かしむように視線を遠くに向ける。

「毎日、私の方から声を掛けさせていただいていたら、少しずつお話をしてくださるようになりまして」

「気がつけば、こうして本を一緒に選ぶようになっていました」

穏やかな声だった。
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