魔法使い時々王子
シドが部屋を後にすると、静寂が戻った。

コンコン。

しばらくして扉が叩かれ、エドが入ってくる。

「よかったんですか。引き留めなくて」

エドの言葉に、ロザリアは再び窓の外へ視線を向けた。

月明かりが静かに差し込んでいる。

「自分の後を任せられる人がやっと見つかった、と仰っていたではありませんか」

ロザリアは小さく微笑んだ。

「そうねぇ。残念よね」

あまりにも軽い口調に、エドは少し拍子抜けした。

だが次の言葉は、どこか寂しげだった。

「でも、人はいつか自分の居るべき場所へ帰るものだもの」

エドは何も言えなかった。

ロザリアはただ静かに月を見つめている。

その横顔は穏やかだったが、長い時を生きてきた者だけが持つ諦観のようなものが滲んでいた。

窓の外では、静かな夜が続いていた。
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