(番外編集)それは麻薬のような愛だった
日下部颯人が彼女に出会ったのは新歓のお花見の時だった。
酒に酔った上級生に未成年飲酒を勧められているのを見かけ、助け舟を出したのがきっかけだった。
「ありがとう。助かりました。…えっと、お名前は…」
そう言った少女に、颯人は咄嗟に可愛い子だなと思った。
白い肌に桜色のまろい頬。くりくりとした瞳や柔らかそうな黒髪は清楚可憐と呼ぶに相応しく、きっと両親から大切に育てられたのだろう、育ちの良さが全身から滲み出ていた。
守ってやりたくなるような空気を醸し出すその少女は、とても颯人の好みだった。
そして何処となく漂うミステリアスな雰囲気は、男心をこれでもかと刺激した。
はっきりと言おう。一目惚れだった。
入学早々ラッキーだと内心ガッツポーズをした颯人は自身の名前を名乗り、自分が助けた彼女の名前が「杜川雫」であると知った。