(番外編集)それは麻薬のような愛だった
『——いっちゃん、私…もういっちゃんには付き合えないよ』
——雫、
『さよなら。いっちゃん。…もう二度と、私達が会う事はないよ』
——待ってくれ、雫…!
どれだけ張り上げても声は出ず、足は鉛のように重く地面に張り付いて動かない。
雫は紬を抱き、絶対零度の視線を残し背を向けて去っていく。
その先には知らない男が立っており、雫と紬を抱き寄せる。
——夢であってくれ
そう願うも目の前の光景は確かなものであり、伊澄の心は絶望に染まっていく。
何度二人の名前を呼ぼうがもう雫は振り返りもしない。小さな背中は更に小さくなり消えていく。
伊澄の視界は、そこで暗転した。