野いちご源氏物語 二〇 朝顔(あさがお)
おふたりでご寝室にお入りになっても、源氏(げんじ)(きみ)入道(にゅうどう)(みや)様のことを考えていらっしゃった。
そのせいかしら、夢か現実か分からないくらいぼんやりと、宮様が枕もとにお現れになったの。
ひどく怒っていらっしゃる。
「私のことをあれこれとお話しになっていましたね。そんなふうに、あのこと(・・・・)もどこかでどなたかにお話しになったのでしょう。こちらでは私たちの(つみ)が知れ渡っていて、恥ずかしく苦しい目に()っております」
とおっしゃるの。

<お返事を申し上げなければ>
と源氏の君は口をお開けになるけれど、何かに押しつぶされるような感じがなさる。
うめき声に気づかれた(むらさき)(うえ)が、
「どうなさったのですか」
とおっしゃるお声で目を覚まされた。

<あの世で苦しんでいらっしゃるとは、なんということだ。お返事もできなかった>
と激しく心臓が鳴る。
お胸を押さえながら涙を流されるの。
紫の上は心配して見守っていらっしゃる。
源氏の君はじっと横になったまま、
<短すぎる夢だった>
と残念にお思いになる。
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