野いちご源氏物語 二〇 朝顔(あさがお)
<せっかく夢に現れてくださったのだから、もう少しお会いしたかった>
と悲しんでいらっしゃるうちに夜明けが近くなった。
源氏(げんじ)(きみ)は早起きなさって、理由ははっきり告げずにお寺にお祈りをお命じになる。
<亡き入道(にゅうどう)(みや)様が苦しんでいらっしゃるのは、あの世で(みかど)の本当の父親が私だと知られてしまったかららしい。さぞかしおつらいだろう。宮様はご生前(せいぜん)、それ以外に何も(つみ)(おか)していらっしゃらない。ただあの罪のためだけに苦しんでおられるのだ。私が代わってさしあげたらよいのだが>
とお悩みになる。

<宮様の(たましい)(しず)めるために仏教(ぶっきょう)儀式(ぎしき)をしたいが、世間の目が気になる。それに、「宮様があの世で苦しんでおられるらしいから」などと言ったら、帝はどう思われることか。「上皇(じょうこう)様の皇子(みこ)ではない自分が帝の(くらい)についているせいだ」と気に()まれるかもしれない>
結局、お心のなかで(ほとけ)様にお念じになる。
来世(らいせ)はあの方と夫婦になれるだろうか。いや、探し出すことさえできないだろう>
ふと浮かぶ現実的な想像は打ち消していらっしゃる。
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