死に戻り聖女は兄の願いを叶えたい〜気づいていないけど、無償の愛に包まれています〜
魔獣が発生する理由
「でもなぜ、こんな陽が落ちる時に魔獣が出現するんだ」
ノアはもう少しセレーネにレオンの話を聞きたかったのだろう、走りながら悔しそうにこぼした。
「逢魔時……」
レオンの姿のアグネスが思い出したように呟いた。
「そうか。逢魔時!さすがアグネスだな。ええっと…確かなにかの文献で読んだことがある。現世と異界が繋がりやすくなる時間でこちらに魔物を惹きつける何かがあると、現世に魔物が来てしまうと書いてあった。しかし……」
走っていた足を止めて、ノアは考え込むように立ち止まった。
「ああ……思い出したぞ。その文献は王城の図書室にある禁書で読んだな。でも魔物はなにに惹きつけられているんだ…」
その内容はまだ俺が第一殿下として過ごしていた時に王城の図書室で見つけた禁書だった。
前陛下でもあった祖父がまだ生きていた頃で、まだ幼く内容が難しいためにすべて読めない俺に祖父がわかりやすく解説をしてくれた。
このことは秘匿しておかなければならないこと、決して実行してはならないことを祖父は話していた。
まさか、誰かが意図的に魔獣を呼んでいるのか?でも、誰の利になるのだ?
そして魔物を惹きつけるものとは…
まさか……身分もなにもないただの騎士となった俺をまだ殺そうと王族派が仕組んだことなら…
貴族派の筆頭であるラチェット家の嫡子レオンも騎士としている。その他にも何人も貴族派の嫡子や息子がいる。その中にはセレーネも含まれる。
それをまとめて消せる良い機会だと考えたなら。
レオンとアグネスが死に戻る前の世界では、セレーネはこの討伐で死んだと話していた。
自分の被害妄想だと信じたいが、貴族派の子女を殺すために、この魔獣の大量発生を王族派が手引きしたと考えることもできる。
「魔物はなにかに惹きつけられてこちらの世界に来ているの?」
ノアに合わせて、立ち止まったレオン姿のアグネスは独り言を呟くノアを心配そうに見つめた。
「アグネスは「逢魔時」はどこで知った?」
「大聖堂の倉庫の大掃除で逢魔時に出てくる魔物を対峙する聖女様のタペストリーが置いてあったのを見たことがあるの」
レオン姿のアグネスは、辛かった大聖堂生活を思い出したのだろう。少し苦笑いをした。
「そうか……この魔獣の大量発生が不自然なものだと考えると見方が変わってくるな。やみくもに討伐してもずっとこの繰り返しになる。何か手を打たなければ。それにはまずは原因の把握だな。とりあえずはみんなと合流しよう」
レオン姿のアグネスも同意すると、ふたりで班に合流するために先を急いだ。
班と合流すると既にみな、再び鎧を着けたり戦闘態勢だった。
「ノアとレオン、どこに行ってたんだ!」
ふたりとも戻りが遅く班長にどやされると、急いで討伐準備をはじめた
班はノアとレオンの到着を待っていたのか、すぐに討伐となった。
すでに今日の日中は1日中討伐に出ていた訳で、ようやくいまから夕食を食べれるというタイミングで魔獣の討伐になったために騎士達からは疲労感が漂う。
しばらく進軍すると遠くの方から勢いよく駆けてくる魔獣の足音や木々をかき分ける音がして、大群がやってくることがわかり、騎士たちの緊張感が一気に高まった。
「前方に10頭はいるぞ!」
先頭の班から悲鳴のような怒号のような声が聞こえてきたかた思うと、あっという間に激しい戦いとなる。
前方の方の騎士たちが先頭の班を応援をするべく、大勢の騎士が前方に向かう。
「アグネスは無理はするな!なるべく俺の後ろにいてろ」
ノアは自分達の班員と魔獣の横からの攻撃に備えて、後方で警戒している時にレオン姿のアグネスをそっと耳打ちをした。
レオン姿のアグネスは大きくひとつ頷いた。
「やはり来たぞ!」
警戒はしていたが、それはどこからともなく湧き出るかのようにやってきた。
横のほうからもドドドドっと音がして魔獣がこちらに向かってくるのがわかる。
「囲まれるぞ!」
班員の誰かが叫んでかと思うと、あっという間には魔獣に囲まれてしまった。
切っても切っても魔獣の数が多くきりがない。
前方の騎士たちが怪我を負いながら、ジリジリと後退してきた。
「退却だ!一旦退却ーーー!!」
副騎士団長の大声とともに、一気に隊列が崩れて大勢の騎士がバラバラになって走って野営地に向かう。
魔獣から逃げられず戦う者、必死で逃げる者、まるで地獄絵図だ。
レオン姿のアグネスはノアと背中合わせで、魔獣に向かって剣を振るい続けていた。
「レオン、ノア、退却命令だ!」
班員がふたりに大声で声を掛ける。
「わかってる!いま、手が離せない!俺が殿しんがりを務めると副騎士団長に伝えてくれ!」
「ノア!お前、死ぬぞ!」
ノアは口角を上げた。
「前方の仲間を助ける!それまで俺は死ねない!」
この大量の魔獣の発生が俺の存在を消すために仕向けられたと考えると、俺は逃げるわけにはいかない。
「アグネスもみんなと一緒に退却しろ」
背中合わせになっているレオン姿のアグネスに声をかける。
「ノアが殿しんがりを務めるなら、わたしにいい考えがあるの」
レオン姿のアグネスはニッコリと微笑んだ。
ノアはもう少しセレーネにレオンの話を聞きたかったのだろう、走りながら悔しそうにこぼした。
「逢魔時……」
レオンの姿のアグネスが思い出したように呟いた。
「そうか。逢魔時!さすがアグネスだな。ええっと…確かなにかの文献で読んだことがある。現世と異界が繋がりやすくなる時間でこちらに魔物を惹きつける何かがあると、現世に魔物が来てしまうと書いてあった。しかし……」
走っていた足を止めて、ノアは考え込むように立ち止まった。
「ああ……思い出したぞ。その文献は王城の図書室にある禁書で読んだな。でも魔物はなにに惹きつけられているんだ…」
その内容はまだ俺が第一殿下として過ごしていた時に王城の図書室で見つけた禁書だった。
前陛下でもあった祖父がまだ生きていた頃で、まだ幼く内容が難しいためにすべて読めない俺に祖父がわかりやすく解説をしてくれた。
このことは秘匿しておかなければならないこと、決して実行してはならないことを祖父は話していた。
まさか、誰かが意図的に魔獣を呼んでいるのか?でも、誰の利になるのだ?
そして魔物を惹きつけるものとは…
まさか……身分もなにもないただの騎士となった俺をまだ殺そうと王族派が仕組んだことなら…
貴族派の筆頭であるラチェット家の嫡子レオンも騎士としている。その他にも何人も貴族派の嫡子や息子がいる。その中にはセレーネも含まれる。
それをまとめて消せる良い機会だと考えたなら。
レオンとアグネスが死に戻る前の世界では、セレーネはこの討伐で死んだと話していた。
自分の被害妄想だと信じたいが、貴族派の子女を殺すために、この魔獣の大量発生を王族派が手引きしたと考えることもできる。
「魔物はなにかに惹きつけられてこちらの世界に来ているの?」
ノアに合わせて、立ち止まったレオン姿のアグネスは独り言を呟くノアを心配そうに見つめた。
「アグネスは「逢魔時」はどこで知った?」
「大聖堂の倉庫の大掃除で逢魔時に出てくる魔物を対峙する聖女様のタペストリーが置いてあったのを見たことがあるの」
レオン姿のアグネスは、辛かった大聖堂生活を思い出したのだろう。少し苦笑いをした。
「そうか……この魔獣の大量発生が不自然なものだと考えると見方が変わってくるな。やみくもに討伐してもずっとこの繰り返しになる。何か手を打たなければ。それにはまずは原因の把握だな。とりあえずはみんなと合流しよう」
レオン姿のアグネスも同意すると、ふたりで班に合流するために先を急いだ。
班と合流すると既にみな、再び鎧を着けたり戦闘態勢だった。
「ノアとレオン、どこに行ってたんだ!」
ふたりとも戻りが遅く班長にどやされると、急いで討伐準備をはじめた
班はノアとレオンの到着を待っていたのか、すぐに討伐となった。
すでに今日の日中は1日中討伐に出ていた訳で、ようやくいまから夕食を食べれるというタイミングで魔獣の討伐になったために騎士達からは疲労感が漂う。
しばらく進軍すると遠くの方から勢いよく駆けてくる魔獣の足音や木々をかき分ける音がして、大群がやってくることがわかり、騎士たちの緊張感が一気に高まった。
「前方に10頭はいるぞ!」
先頭の班から悲鳴のような怒号のような声が聞こえてきたかた思うと、あっという間に激しい戦いとなる。
前方の方の騎士たちが先頭の班を応援をするべく、大勢の騎士が前方に向かう。
「アグネスは無理はするな!なるべく俺の後ろにいてろ」
ノアは自分達の班員と魔獣の横からの攻撃に備えて、後方で警戒している時にレオン姿のアグネスをそっと耳打ちをした。
レオン姿のアグネスは大きくひとつ頷いた。
「やはり来たぞ!」
警戒はしていたが、それはどこからともなく湧き出るかのようにやってきた。
横のほうからもドドドドっと音がして魔獣がこちらに向かってくるのがわかる。
「囲まれるぞ!」
班員の誰かが叫んでかと思うと、あっという間には魔獣に囲まれてしまった。
切っても切っても魔獣の数が多くきりがない。
前方の騎士たちが怪我を負いながら、ジリジリと後退してきた。
「退却だ!一旦退却ーーー!!」
副騎士団長の大声とともに、一気に隊列が崩れて大勢の騎士がバラバラになって走って野営地に向かう。
魔獣から逃げられず戦う者、必死で逃げる者、まるで地獄絵図だ。
レオン姿のアグネスはノアと背中合わせで、魔獣に向かって剣を振るい続けていた。
「レオン、ノア、退却命令だ!」
班員がふたりに大声で声を掛ける。
「わかってる!いま、手が離せない!俺が殿しんがりを務めると副騎士団長に伝えてくれ!」
「ノア!お前、死ぬぞ!」
ノアは口角を上げた。
「前方の仲間を助ける!それまで俺は死ねない!」
この大量の魔獣の発生が俺の存在を消すために仕向けられたと考えると、俺は逃げるわけにはいかない。
「アグネスもみんなと一緒に退却しろ」
背中合わせになっているレオン姿のアグネスに声をかける。
「ノアが殿しんがりを務めるなら、わたしにいい考えがあるの」
レオン姿のアグネスはニッコリと微笑んだ。