(改稿版)小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
NICUに到着すると、既に搬送準備ができていて乗り込むだけになっていた。
担当の看護師と一緒に専用の搬送車に同乗し、車内で申し送りを受ける。

今日のお昼に生まれたばかりなのだが、2時間ほどして急に呼吸が弱くなってきたのだという。
呼吸器か、循環器か。

いずれにせよ、的確な処置を急がなければならない。

「頑張れ・・。高浜教授に診てもらおうな、もう少しだぞ」

俺は保育器の中の赤ちゃんに、小声で話しかける。
小さく上下する胸元が、止まらないことを祈り続けた。

道路事情も良く、予定より早く大学病院に到着する。

「西島、こっちだ」

高浜教授が搬送口で待っていて、同乗していた俺を呼んだ。
事前に総合病院から情報連携されているから、俺は車内での様子を手短に伝える。

「わかった、急いで対処しよう。西島も少し手伝ってくれるか。緊急用のIDパスも手配してある」

「はい、そのつもりで来ました」

普段の俺は研究室にしか出入りしないため、大学病院では非常勤スタッフとしての登録になっている。
ただし、いざという時は高浜教授の承認のもとで医療行為が許されており、緊急用のIDパスがあれば医療機器などの設備も全て使えるようになるのだ。

「まずは数字を取りたい。機器類のセットを頼む」

「はい」

生まれたばかりの小さい身体を傷つけないよう、細心の注意を払って手早く設置した。



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